「子どもたちの一人ひとりの意欲を喚起する」、「豊かな人間性と心身を育む」ための空間構造として、遊環構造という7つの条件を持つ空間計画を軸として、子どもたちの元気と個性づくりにつながる意欲を喚起する環境づくりを行いました。
幼稚園にとって大切なことのひとつは安全・安心の確保です。地震や災害に強い建物とすることはもちろん、廊下・階段の形状や段差、手に触れる部分の角を丸くするなど、徹底した安全対策を施し、またセンターからは送迎口や園内の様子が良く見え、犯罪から子どもたちを守りやすい設計としました。
それぞれの保育室の前に送迎口があり、保護者と担任の先生が直接会話できるように配慮しています。子育ての相談や、保護者同士の交流ができる設計としました。
園舎の中心には二層吹抜けのプリンスホールがあり、すべての保育室がホールに面しており、異年齢交流の場として利用されます。上部にはキャットウォークがあり、ミニタワーと階段で上り下りできます。ロフトには、たくさんの絵本があり、子どもがわくわくする楽しいコーナーになっています。さまざまなイベントにも対応します。
広々とした園庭の西側と、さまざまな遊具が配置されている北側でゆるやかにゾーン分けし、子どもたちの原体験ともなる幼少期に運動・休憩・交流・創造・想像などの大切な感覚を喚起するように設計しました。
2つに分けられた砂場は山砂と川砂の2種類が入れられています。子どもたちは遊びの中で自然に感触の違いを味わい、それぞれの特性からさまざまなことを学んでいます。
敷地を囲うように配置されている樹木は、子どもたちの安全とプライバシー保護を手助けすると同時に、季節ごとにそれぞれ花や実をつけることで移りゆく季節を五感で楽しむことができます。園歌にもあるアカシア、紅葉の美しいモミジ、春の象徴でもあるサクラなどに加えて、モモやナツミカン等の果樹も含めた多様な樹種を各所に配しました。